マンション購入を検討する際、新築マンションと中古リノベーション、どちらが正解なのかと悩まれる方、多いのではないでしょうか。
最新の機能性や安心感が味わえる新築マンション。暮らしに合わせた改装で、快適な生活が送れる中古リノベ。どちらにも一長一短があり、住む人の考え方や優先事項、ライフスタイルによって正解が変わってくる難しい問題です。それぞれの基本的な違いや気を付けるべきポイントをまとめてみたので、ぜひ参考にしてみてください。
新築マンションの特徴
機能的な暮らしが実現できる新築マンション。そのメリット・デメリットは以下のとおり。
■新築マンションのメリット
①建物や設備が新しい=設備機能は日々進化しているため、建物や構造、住宅設備など、基本的な住宅性能がアップグレードされているものが多い。特に、断熱性や気密性、耐震面や防犯設備などに差が出ることがある。
②ランニングコストが抑えられる=建物や設備が新しいため、修繕費用が中古より安く済む。高断熱・高気密などの機能性により、光熱費などが安く抑えられることも。③税制優遇が充実している=新築の場合、住宅ローン控除、固定資産税、不動産取得税などに関し、中古よりも良い優遇措置が受けられる。
■新築マンションのデメリット
①中古より価格が高い=新築物件の場合、広告宣伝やモデルルーム設営などの販促を行うため、その経費が物件価格に加算されることが多い。またディベロッパーの利益分も加算されるため、物件価格の20%前後上乗せされている場合も多い。
②実物が確認できない=モデルルームの状態で販売されることが多いため、実際の眺望や陽光の入り方、生活音といった環境条件がイメージと異なるリスクがある。
③物件の選択肢が少ない=販売される新築物件の中からしか選べないため、立地や間取りなどが希望条件に合わないことがある。大手住宅・不動産サイトを複数検索してみると、新築マンション200~400件に対して、中古マンションは10,000~20,000件という割合。
④資産価値の下落率が大きい=購入時は“新築” のマンション価格で購入するが、買い替えなどで売る際には、“中古”価格になるため、購入時と販売時の金額差が大きくなりがち。
中古リノベーションの特徴
中古物件を購入し、自分好みにカスタマイズする中古リノベーション。どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
■中古リノベのメリット
①物件価格が割安=中古物件は新築より価格が低いため、リノベーション費用と合わせても同条件の新築より安くすむ場合が多い。特に、リフォーム前の物件(全居住者が退去した状態)を購入すれば、さらに割安になる。
②選択肢が豊富=新築マンションとは逆に、物件が豊富に出回っているため、立地や広さ、環境など希望にマッチしたものを見つけやすい。また、実際に建物の管理状況や生活環境、住人の雰囲気などを確認できるのもメリット。
③自由にリノベできる=自身のライフスタイルに合わせて、壁紙や天井、水回りや間取りなどを暮らしやすく変えることが可能(※管理規約の許容範囲内に限る。また構造上不可能なケースもあるので注意)。
④資産価値を維持しやすい=新築の場合は価値下落率が高い一方、中古マンションは下落率が少ない傾向。リノベーションなどで設備機器を一新している場合は、より下がりにくくなることも。
■中古リノベのデメリット
①引き渡しまで時間が掛かる=中古物件を購入後すぐに住めない。改装工事が完了してからの引き渡しになるので、工事内容によっては3か月~半年程度かかる場合もある。
②設備が古い=新築と比べて、断熱性や気密性、耐震面や防犯設備などの住宅性能が劣るケースが多いため、新設に費用が掛かる。既存の設備も経年劣化しており、交換が必要な場合もある。リノベの際に不具合が見つかり、リノベ費用が想定より高くなってしまうケースも。
③諸費用が掛かる=新築とは異なり、購入時に仲介手数料が必要(別項にて説明)。建物が古いため、月々の修繕積立金などが新築よりも高くなる。また、税制優遇措置の恩恵が新築と比べて少ない。
マンション購入時の諸費用比較
実際にマンションを購入する際、どのような費用が必要なのでしょうか。
一般に、マンション購入時の物件以外の諸費用は、新築マンションでは物件価格の3~5%、中古マンションでは価格の5~8%程度と言われています。
中古マンションは、物件自体は割安ですが、諸費用は新築より少々高め。さらにリノベ費用が掛かってくるので、検討の際にはしっかりと計算しておくことが必要になります。
■新築マンション
①物件価格=中古に比べて割高。
★②修繕積立基金=修繕積立準備金とも言われ、購入時に数十万円程度まとめて支払う。
③税金関連=印紙税、不動産所得税、固定資産税、登録免許税など。
④住宅ローン関連=融資手数料、保証料、団体信用生命保険など。
⑤各種保険=火災保険料、地震保険料など。
■中古リノベーション
①物件価格=新築の同条件物件に比べて割安。
★②仲介手数料=仲介会社に支払う手数料。400万円超物件では、物件価格×3%+6万円程度掛かる。
★③リノベ費用=壁紙や床材、キッチンやトイレなどの設備機器、職人さんへ支払う工事費など。一般的な広さのマンションをフルリノベした場合、800万~1,500万円程度が目安。
④税金関連=印紙税、不動産所得税、固定資産税、登録免許税など。
⑤住宅ローン関連=融資手数料、保証料、団体信用生命保険など。
⑥各種保険=火災保険料、地震保険料など。
⑦物件購入その他の費用=不動産所得税、登記費用、住宅ローン手数料、保険料など
★⑧リノベに関する諸費用=税金、現場管理費、書類作成手数料など。
※★マークの項目が、それぞれ大きく異なる内容です。
チェックポイント:資産価値
マンションを購入する際、資産としての側面も考えておくとよいかもしれません。
一般的に、マンションは新築から5年以内であれば、新築とさほど変わらない価格で取引されることも多いそう。しかし築5~10年頃からの下落率がもっとも大きく、10~20%などとも言われます。さらに築20年頃まで緩やかに下がり続け、最終的に築30年頃に半額以下にまで下落し、そこで下げ止まることが多いと言います。※各種条件により、当てはまらない場合もあります。
資産価値という側面から見た場合、新築マンションは購入価格と販売価格の差損が出やすく、逆に中古マンションであれば差が出にくいことになります(築浅物件でない場合)。さらに、リノベーションで水回りや配管といった設備のリニューアルをしっかり実施することで、資産価値が下がりにくくなると言います。
チェックポイント:住宅ローン
「中古だとローンが組めないのでは」というイメージがありますが、中古マンションも新築同様、住宅ローンを組むことができます。
一部金融機関では、築年数に比例してローンの返済期間や借入可能金額に制限がつくものがありますが、現在は各金融機関が多様なローンを展開しているので、一社にこだわらず調べてみるとよいかもしれません。
また、リノベーションの費用まで組み込んだローンを取り扱う金融機関も増えています。中古リノベを検討するのであれば、金利の高いリフォームローン+住宅ローンよりも、金利が低めの住宅ローンにリフォームが組み込まれたローンを探すのがおすすめです。
チェックポイント:住宅ローン控除
正式名称は、「住宅借入金等特別控除」。マンション購入後の10~13年間、住宅ローン残高の1%が所得税など税金から控除される制度です(上限額あり)。
前述の通り、新築マンションは税制面で手厚く優遇されていますが、中古マンションでも一定の条件を満たせば住宅ローン控除が受けられます。
中古マンションが控除を受けるために必要となる条件は、以下のとおりです。
■築年数=木造マンションの場合は築20年以内、耐火建造物(RC造)の場合は築25年以内であること。耐震基準適合証明書がある場合は、築年数を問わない。
■床面積=50平方メートル以上で、床面積の半分以上が居住用であること。※2021年1月1日~2022年12月31日までに居住した場合に限り、床面積40平方メートル以上。
■耐震基準=国の定める耐震基準を満たしていること。
■所得金額=控除を受けたい年の所得金額が3,000万円以下であること。
■住宅ローン=返済期間が10年以上のローン契約をしていること。■入居時期=物件取得後6か月以内に住み始め、控除適用年の12月31日まで継続して住んでいること。
新築マンションと中古+リノベーション
新築マンションと中古+リノベーション、比較してみていかがだったでしょうか。
ご紹介しきれなかった部分も多くありますが、新築と中古の基本的な違いや一般的な傾向について触れました。
住まいは、購入して終わりではありません。購入後どのような生活がご希望なのか、ご自身ご家族のライフスタイルや将来のご希望などとも合わせて、ぜひ正解を見つけてみてください。