相続した家を売る際にかかる税金を抑える方法とは

親が亡くなって自宅を相続する場合、状況によっては売却を検討することもあるでしょう。しかし、相続した家の売却で利益が出れば、多額の所得税が発生する可能性もあります。

売却後に「これほど税金がかかるとは思わなかった」と後悔することのないように、税金を抑える方法について、事前にしっかりと調べておきましょう。今回は、相続した家を売る際に利用できる、主な控除や特例措置を3つ紹介します。

1:3,000万円特別控除(自己居住用財産)

3,000万円特別控除※は、相続した家を売却した際の譲渡所得額から、3,000万円を控除してくれる減税制度です。利益が出てもその利益が3,000万円以内なら、実質無税になるのですから、売却する側にすれば大変ありがたい制度といえます。

ただし、この控除を利用するには、いくつかの要件を満たさなければなりません。主な要件は以下の4点です。

• 相続した家に同居していたこと
• 2年前までに3,000万円特別控除を受けていないこと
• 親子や夫婦といった近しい関係同士の売却ではないこと
• マイホームであること(マンションは適用外)

ほかにもいくつか要件はありますが、それらの要件をすべて満たせば、3,000万円特別控除を利用できます。

なお、夫婦や子どもが同居していたケースでは、ほぼ100%この控除を利用できると考えて差し支えありません。反対に、相続人が相続した家に住んでいなかったときは、残念ながら当制度は使えません。その場合は、後述する「相続空き家の3000万円特別控除」の利用を検討してください。

※参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

2:3,000万円特別控除(相続空き家)

遠方に住む親が亡くなって自宅を相続した場合などは、相続空き家向け控除※が対象となります。譲渡所得額から3,000万円が控除されるのは、自己居住用財産向け制度と同じです。

ただし、「昭和56年3月31日以前に建築された戸建」「相続開始から3年後の年末までの売却」というように、認定要件が自宅向けよりも厳しく設定されています。要件をすべてクリアできないと認定されないため、なかには、売却せずにしばらく放置しようと考える人も少なくありません。

でも、空き家のまま6年以上放置すると、「特定空き家」に認定されてしまいます。特定空き家に認定されれば、最大で固定資産税が6倍に跳ね上がる可能性があるのです。相続が決定したら、できるだけ早く宅建士のような専門家に相談することを強くオススメします。

※参考:空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3000万円特別控除)について

3:取得費加算の特例

所得税の基準額となる「譲渡所得」は、「譲渡所得 = 売却価格 − (取得費 + 譲渡費用)」という計算で算出できます。取得費加算の特例※とは、取得費に相続時に支払った「相続税」を加算してくれる特例制度です。

計算式をみてわかるとおり、取得費が増えれば、その分だけ譲渡所得額は下がります。相続税を払ったうえ、さらに譲渡所得が加算されれば、二重課税です。これでは相続者の負担が大きすぎるので、取得費加算の特例が設けられているわけです。

ただし、取得費加算の特例と空き家の3000万円特別控除は、併用ができません。取得費加算特例と自己居住用財産の特例なら、併用が可能です。こういった法制度は非常に複雑なので、どの制度がいちばん得をするか、きちんと専門家に相談して決めてください。

※参考:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

まとめ

税金が高くて、せっかく相続した家を手放すことのないように、国がいくつも軽減制度を設けてくれています。今回紹介した制度以外にも、「10年超所有の場合の軽減税率の特例」や「小規模宅地等の特例の活用」のように、利用できる制度は数多くあります。

なかには併用できない制度もあるので、どの制度を利用するのがベストなのか、事前にしっかりと比較検討が必要です。まずは、私どもリアルキューブのような不動産のエキスパートに、ご相談いただければと思います。

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