暮らしと音楽の「密」な関係。vol.5 – ボウリング場のニュースから考える、若者の音楽離れ –

若者の「〇〇離れ」はどの業界でも多いものですが、先日、ボウリングにおいてもビギナーの来場者が減っているというニュースを目にしました。

ボウリングといえば卒業式や夏休みなど、若年層にとってはイベントの定番。近年では歌手の桑田佳祐さんがテーマソングを作り、自らボウリング大会を主催するなど以前よりも話題を集めていたように感じていました。

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どうやらプレイヤーが初心者とみるやベテランの方々が指導に動くというケースがあり、これいわゆる「教え魔」と呼ぶのだとか。彼らのおかげで若者がボウリング場から離れるようになり、業界でも忌避しているといいます。

参考記事

教える側に悪意はないと信じたいものですが、友達と楽しんでいるところへ急に知らないオジサンが入ってきて指導された——そんな経験は若年層のライトユーザーからゲームの魅力を奪うのに十分な経験でしょう。

さて、この事象を音楽で考えるとどうでしょう。

私はジャズという音楽の分野に長く身を置いてきましたが、年配者がしたり顔で歴史を語り、自分の好みを押し付ける……そんなケースも多く見てきました。それでいて「若いリスナーが育たない」と嘆く。今回のボウリングのニュースをみて、そりゃそうだよな、と思わされるのです。

音楽は個人の楽しみたいように聴くのが一番。リスナーが欲しい情報を、自分から掴みにいける状態が理想ですよね。現在ではサブスクとウィキペディアの併用によって、理想系に近い鑑賞形態が作られつつあります。上から目線の発言やお仕着せが減り、多層的な交流が活発になることを祈るばかりです。

もちろん、この連載も「教え魔」にならないようにしなければなりません……。 

text by Koichi Otomo


【筆者プロフィール】

大伴公一 | Koichi Otomo
(ミュージック・ソムリエ / 愛猫家)

立命館大学を卒業後、音楽専門誌ジャズライフの編集を経てブルーノート・ジャパン/モーション・ブルー・ヨコハマに勤務。2018年にはモントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパンのプロデューサーに就任。現在は文筆業の傍ら、ジャズ番組のナビゲーターや横濱ジャズプロムナードのプログラムディレクターも務めている。ミュージックソムリエ。

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