暮らしと音楽の「密」な関係。vol.2 – 歌詞のない音楽との向き合い方 –

家で過ごす時間にどのような音楽を聴いているか——と問えば、ほとんどの方がJポップと答えるのではないだろうか。

音楽的な興味はもちろん、日本語で書かれた歌詞の内容に共感/没入することで、「辛くても頑張って生きよう」「素敵な恋がしたい」「人生は素晴らしい」など、各々で気持ちを奮い立たせながら明日へ踏み出す。ここに、音楽と言葉の相乗効果が生まれていることは疑うべくもない。

それでは音楽そのものの効用とはなにか。

そもそも音楽を「耳で聴く」と思っている方が多いけれど、それは間違い。耳は音を捉える器官であり、音楽を実際に感じているのは人間の脳なのだ。

脳で受容された音楽は自律神経系に作用し、身体や精神に影響を与える……などというと難しいけれど、つまり人は音楽そのものからポジティブなエネルギーを受けることができるということ。音楽を聴くだけで、心も体も健やかになれたらそんなに素晴らしいことはない。

そうは言っても「インストの音楽は難しいのでは……」なんて、まだ抵抗のある人もいるだろう。不安に思う前にまずは聴いてみよう。暗い/明るい、速い/遅い、うるさい/しずか——さまざまなタイプの楽曲があるけれど、あなたが「いいね!」と思えたら、それがあなたにとっての良い音楽だ。


無理に歌う必要はないし、無理に踊らなくてもいい。難しいことは考えず、ただ流れる音に身を任せるだけ。こんなにハードルの低い趣味、他にあるだろうか?

text by Koichi Otomo


【筆者プロフィール】

大伴公一 | Koichi Otomo
(ミュージック・ソムリエ / 愛猫家)

立命館大学を卒業後、音楽専門誌ジャズライフの編集を経てブルーノート・ジャパン/モーション・ブルー・ヨコハマに勤務。2018年にはモントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパンのプロデューサーに就任。現在は文筆業の傍ら、ジャズ番組のナビゲーターや横濱ジャズプロムナードのプログラムディレクターも務めている。ミュージックソムリエ。

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